東日本大震災の津波で被災した東松島市宮戸島の竹浜で、鳴き砂が震災前と変わらずに鳴くことが確認された。現地で採取した砂は、音が鳴る成分の石英の比率が約9割と極めて高かった。市指定の天然記念物に推す声が上がるなど、注目を集めている。
 竹浜は宮戸島の南東の突端近くに位置し、長さ約80メートルの砂浜が広がる。周囲は崖に囲まれ、陸からは行けない。
 島に住む奥松島観光ボランティアの会事務局の木島新一さん(68)が震災後の鳴き砂の状況を心配し、市に調査を提案。昨年6月、住民や市職員が漁船で現地を訪れ、乾いた砂浜の上を歩くと「キュッ、キュッ」と音が鳴った。
 調査用の鳴き砂を採取し、市奥松島縄文村歴史資料館の菅原弘樹館長が顕微鏡で観察。0.3ミリ程度の石英が約9割を占めた。島内の月浜、大浜、室浜の3地点の砂浜と比べても砂の色が白く、粒が細やかでさらさらした特徴があった。
 京都府京丹後市の琴引浜鳴き砂文化館によると、砂は石英の含有率が6割以上でなければ鳴かない。国指定天然記念物の琴引浜は76.9%(2014年2月)という。
 鳴き砂の維持には海のきれいさが求められ、「環境のバロメーター」と言われる。全国で約30カ所しかないとされ、希少価値は高い。
 竹浜で採取した砂の一部は昨年、宮戸島で行われた「鮫ケ浦水曜日郵便局プロジェクト」で3000通到達時の記念品に使われた。木島さんは「震災前は何度も上陸していた。鳴き砂が残っていて安心した」と胸をなで下ろす。
 菅原館長は市指定天然記念物にしようと申請準備を進める。「顕微鏡では石英が光り輝いて見えた。観光に活用したい思いもあるが、人が入ると鳴かなくなる恐れもある。鳴き砂を守っていく環境を整えることが大事だ」と話す。