東日本大震災の被災者の力になりたいと、公務員を辞めて陸前高田市に移住した萩原威之(たけゆき)さん(37)が、珍しい「つぼ焼き芋」を販売している。大きなつぼの中につるしてサツマイモを焼く独特の作り方。甘くてホカホカの焼き芋で「地域おこしに協力したい」と意気込む。
 大船渡市で3日開かれた節分のイベントに萩原さんは高さ80センチ、横幅55センチのつぼ二つを持ち込んだ。香ばしい匂いが漂うと親子らが並び始め、「紅はるか」を使った140個の焼き芋は3時間で完売した。
 並んで買った市内の小泉真名実さん(40)は「震災前はよく焼き芋屋が回ってきたけれど、ここ数年は見掛けなくなった。久しぶりに食べられてうれしい」と満足そうだった。
 つぼ焼き芋はつぼの底に炭を入れたしちりんを置き、上につるされた芋を焼く。石焼きと違って芋が熱源に直接触れない。皮が焦げず水分が蒸発しにくいため、甘くて柔らかいのが特長だ。
 萩原さんは東京都練馬区出身。都内のメーカーで勤務後、まちづくりに関わりたいと新潟県上越市の職員として7年間働き、震災後は福島県からの避難者受け入れに携わった。
 2016年の熊本地震の被災地や台風被害を受けた岩手県岩泉町でも災害ボランティアとして活動した。17年に「東日本大震災の被災地のために役立ちたい」と上越市役所を退職。知人が住む陸前高田市に引っ越した。
 「食べ物で地域を元気にできないか」と調べるうちにつぼ焼き芋のことを知った。「焼き芋ならみんなに親しんでもらえる」とクラウドファンディングで資金を募り、つぼ2台を購入した。
 学童保育施設で働く萩原さんは毎月第2、第4日曜に、市内の商業施設「アバッセたかた」で焼き芋を1個400~600円で販売中。市が設けるチャレンジショップへの出店も考えている。