宮城教育大(仙台市青葉区)は新年度、災害対応力を備えた教員を養成するための拠点となる教育研修機構を新設する。東日本大震災の被災地で唯一の教員養成単科大学として、地元や全国の学校現場に震災の教訓を伝承する責務があることを重視。石巻市大川小の津波による犠牲なども踏まえ、命を守る防災を重点に学生や現職教員への働き掛けを強化する。

 新機構は既設の「防災教育未来づくり総合教育センター」を改組する形で発足させる。外部から招く人材のほか、兼務や客員教員を含めて十数人の教職員を配置する。改組と採用に必要な費用が文部科学省の新年度予算に「機能強化促進」項目として盛り込まれた。
 「311いのちを守る教育研修機構」の看板を掲げ、震災の教訓に基づいて学校現場で児童生徒の命を守れる教員を養成する。災害時に自分や家庭、地域の命を守れる「ともに生き抜く力」を備えた子どもを育てる姿勢を明確にする。
 現職教員を対象にした既存の被災地研修や教職大学院プログラムも強化し、南海トラフ巨大地震など警戒地域の教育委員会と連携して受け入れを増やす。教員免許更新講習でも防災関連項目を充実させる。
 学生向けでは2022年度のカリキュラム改編に向け、防災関連科目の再編を進める。全学生対象の被災地研修を実施。再編過程でも、現状の必修2単位を大幅に上回る科目を実質的に履修できるようにする。
 連携協定を結ぶ東北大災害科学国際研究所と共に教育研修の習熟度を評価する手法も検討。震災教訓の伝承、学校防災に意欲を持つ学生による自主ゼミの新設や地域対象の公開講座の開催も予定している。
 被災地の大学では、岩手大教育学部が災害対応も踏まえた学校安全学を新年度から必修化する。震災8年を迎えて風化が懸念される中、次世代への伝承も視野に入れた踏み込んだ取り組みが教員養成系で目立つ。
 宮教大の村松隆学長は「震災後に防災教育の強化に取り組んできたが、十分とは言えなかった。防災力向上は全ての教員に不可欠な資質。震災教訓を伝え継ぐ全国の教育研修拠点を目指す」と話している。