全国最速で人口減少が進む秋田県で地域社会に生きる外国人と共にどう歩むのかを探ろうと、国際教養大(秋田市)が調査研究に取り組んでいる。介護現場の働き手や伝統文化継承の一翼を担う存在として外国人の受け入れが進む県内市町村で、支援態勢や住民意識の変化を分析。共生のありようを提起する。

 昨年10月に始めた研究テーマは「人口減少社会における包摂と継承-『最先端』秋田からの提言」。介護、伝統行事、国家戦略特区の3分野で外国人を受け入れている自治体で聞き取りや現地調査を進める。2021年9月までに結果をまとめ、日本学術振興会(東京)に提言する。
 調査先の一つで、五城目町の介護老人保健施設「湖東老健」では、フィリピンとの経済連携協定(EPA)で来日した介護士候補生の女性3人が働く。施設側は、信仰や母国の生活習慣に配慮した生活環境を整えようと工夫を重ねる。
 国際教養大はこうした現場で日本語学習や介護福祉士の国家試験に向けた指導に当たりながら、共生の在り方の調査研究を続ける。
 15年の調査で、県内92介護施設のうち約3割が外国人労働者の受け入れに前向きな回答を示した。一方、日本語教育や意思疎通の不安を課題とする声が多かった。同大グローバルスタディーズ課程の秋葉丈志准教授は「教育機関や事業所、自治体が連携した支援態勢の形を探りたい」と話す。
 地域の伝統行事が少子高齢化などで担い手不足に直面する中、男鹿市のナマハゲや秋田市の竿燈は外国人留学生らを受け入れている。同大は調査研究で、県内17の重要無形民俗文化財の担い手らに聞き取りなどをして受け入れの考え方を把握。外部の人材による伝統継承の可能性を考える。
 観光や農業の分野で国家戦略特区活用を目指す仙北市と大潟村でも受け入れの課題などを掘り出す。
 4月には外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が施行される。研究グループ代表を務める国際教養大アジア地域研究連携機構の熊谷嘉隆教授は「地域で暮らす外国人は増えていくだろう。多様な視点を生かして暮らしの中の課題を解消し、共生のありようを探る試金石となる調査研究にしたい」と語る。