企業集積が加速する岩手県北上市で工業団地の空きが残りわずかとなり、区画争奪戦の様相を呈している。半導体大手「東芝メモリ」(東京)の新工場建設に伴って関連企業の進出が相次いでいるためだ。市は東芝メモリにかかりっきりとなり、新たな団地造成に手が回らない状態だ。
 市内に10カ所ある工業団地のうち、空き区画があるのは3カ所だけとなった。
 市西部の後藤野団地には大規模工場向けに32ヘクタールの敷地を確保していたが、東芝メモリの新工場着工で状況は一変。数十社とも言われる関連企業の進出を見越し、敷地の分割を決めた。
 市商工部の担当者は「既に半分程度の区画に引き合いが来ている。どこまで動きが広がるのか」と驚く。
 東北自動車道北上金ケ崎インターチェンジ(IC)に近い団地2カ所も人気が高まっている。
 南部団地は物流や製造を中心に77社が立地。残る2区画計2ヘクタールも交渉中という。隣接する北上産業業務団地も空きは4区画計2.7ヘクタールとなり、完売寸前だ。
 南部団地に北上で2棟目となる物流施設を建設中の大和ハウス工業は「適地があれば、さらに検討したい」と一層の用地確保に意欲を示す。
 企業が押し寄せる北上市だが、現段階で新団地の造成計画は机上に載っていない。2020年の操業開始に向けて準備が進む東芝メモリ新工場への対応が多忙を極め、余力を割ける状況にないという。
 東芝メモリは北上を三重県四日市市に次ぐ拠点と位置付け、将来的に複数の製造棟建設の方針を表明。呼応して市は同社が進出する北上工業団地周辺の用地買収に奔走し、団地の敷地を21ヘクタール拡張する考えだ。
 石川明広市商工部長は「関連企業の進出も含めて東芝メモリの対応が最優先」と状況を説明し「落ち着かない状況は当面続くだろう」と見通した。