ジャズナンバーを中心に、日替わりのバンド編成でその場だけの生演奏を届ける。ロックやポップスなど、来店客から幅広いリクエストにも応えてくれる。

 ここは創業27年のジャズバー「クロスビー」。オーナーは生まれも育ちも仙台市のギタリスト村上徳彦さん(59)。ピアノ、ドラム、トランペットなど約15人のレギュラーメンバーが、毎夜2、3人ずつ出演する。

 この日のバンドは、村上さんとロシア・ウラジオストク出身のボーカル、ビクトリアさん、ベースの崎村達也さん(塩釜市出身)。営業時間中、40分間の演奏タイムが4回ある。

 お酒の苦手な記者は、ステージ脇のカウンターに座りジンジャーエールを注文。グラスが手元に運ばれてくると、ライブが始まった。

 演目は、定番の「フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン」に続いてカーペンターズ、ビリー・ジョエル、スティング…。ギターの弦の擦れる音も聞こえる近さで楽しめるのはたまらない。

 そろそろ、リクエストしようかな-。そう思った時、大好きな曲のイントロが店内に響いた。ビートルズの「ヒア・ゼア・アンド・エブリウェア」。ビクトリアさんの透き通った伸びやかな歌声に、高校時代、この曲を繰り返し聴きながら受験勉強をした記憶が、頭の中に懐かしく浮かんだ。

 「聴く人のハートに刺さるような演奏を届けられたら」と村上さん。美しい音色に、来店客がそれぞれの思い出を重ねながら、ぜいたくな時間が流れていく。
(橋本智子)

[ジャズバー「クロスビー」] 仙台市青葉区国分町2の8の12の5階。営業は午後6時半から午前1時。祝日は午前0時まで。日曜定休。料金は1ドリンクとお通し、ミュージックチャージ込みで4500円から。ゲスト奏者を招いた特別ライブを行う日もある。連絡先は022(215)7766。