史上初めて成功したブラックホールの輪郭の撮影で、岩手県奥州市にある国立天文台水沢VLBI観測所が重要な役割を果たしていたことが分かった。国際チームの広報で水沢観測所の田崎文得(ふみえ)特任研究員(33)=電波天文学=は「主にチリの望遠鏡の運用と画像解析で貢献できた」と語る。
 ブラックホールを捉えたのは、世界6カ所の望遠鏡を組み合わせた「超長基線電波干渉計(VLBI)」と呼ばれる観測方法。200人の国際チームには水沢観測所から6人の研究者が参加した。
 標高5000メートルにあるチリの望遠鏡から正確な観測データを送信するため、全長30キロの光ケーブルを中腹の拠点施設まで敷設した。
 地球規模の仮想巨大望遠鏡を形成するには「チリの望遠鏡をチームに加えることが重要だった」(田崎さん)。
 観測データの画像解析でも水沢観測所が大きな役割を果たした。少ないデータから全体像を推測するため、磁気共鳴画像装置(MRI)などに用いられる手法を参考に独自の解析ソフトを開発した。
 国際チームが発表した画像は、新手法を含む三つの手法を足して3で割った画像という。
 画像解析を担当した田崎さんは「初めて見たときは、相対論的な力が強く働いている、誰も見たことがない世界を独占できてうれしかった」と振り返った。
 水沢観測所は100年以上の歴史があり、緯度の観測に欠かせない「Z項」の発見で知られる。田崎さんは「今回の水沢観測所の成果を東北の人にも自慢してもらえたらうれしい」と話す。今後、市民向けの成果発表会の開催を検討するという。