東日本大震災で初めて導入された被災企業の復旧支援制度「グループ化補助金」が、発生から3年が経過した熊本地震でも適用され、熊本、大分両県で5109件、1404億円(2月末現在)の交付が決定した。熊本県は3月にグループ加入の申請を締め切り、大分県は補助金交付を全て終えた。

 グループ化補助金は、被災した中小企業がグループを組んで復興事業計画を立て、地域経済に役立つと認められれば施設や設備を復旧する際に国と県が最大4分の3を補助する制度。中小企業庁によると、熊本県で4861件(約1373億円)、大分県で248件(約31億円)の交付が決まった。
 最大震度7の地震に2度襲われた熊本県は、建物や設備の被害が広範囲に及んだ。資金調達力の乏しい中小零細企業の倒産や廃業などが危ぶまれたものの、東京商工リサーチ熊本支店によると、地震が起きた2016年度の倒産件数は前年度より33件少ない35件にとどまった。
 熊本県内で地震に関連する倒産は3年間で25件。同支店は「グループ化補助金など東日本大震災の経験を踏まえた制度が素早く整備され、幅広く企業が救われたため」と分析する。
 グループ化補助金は昨年7月の西日本豪雨の際も岡山、広島、愛媛3県に適用された。中小企業の災害復旧に効果を発揮する一方、同年9月の北海道地震では見送られ、支援の格差を懸念する声も上がっている。

◎益城町商工会津留事務局長 業者のまとめ役に

 熊本地震の現場でグループ化補助金はどう活用されたか。被災した事業者をサポートしてきた熊本県益城町商工会の津留昭生事務局長(63)に聞いた。(聞き手は報道部・鈴木拓也)

 -会員の被害状況は。
 「地震発生時に会員だった事業者は494あり、サービス業と建設業が多い。地震で飲食店などが大きな被害を受けた。店舗・工場などの全壊は290件、半壊は210件、一部損壊は372件に上った。複数の施設が被害を受けた事業者もいた」

 -グループ化補助金の申請状況は。
 「商工会が中心となり、194の事業者で一つのグループをつくった。地震直後に廃業を考えた事業者もいたが、グループ化補助金を使えることが分かると表情が明るくなった。ただ、小規模の事業者は誰と組むかで悩んでいた。復旧してもらわない限り町の復興はないと思い、商工会がまとめ役になった」

 -申請はスムーズに進んだか。
 「グループの加入手続きは商工会がほとんど行った。最初は東日本大震災と同じ書式で申請を求められた。東北から応援に来た人に書き方を聞いたが、複雑で難しかった。途中から復興事業計画が箇条書きで認められるなど書式が簡略化されて良かった」

 -東京商工リサーチによると、町内の倒産は1件にとどまる。
 「グループ化補助金の効果が大きかった。高齢化が進む現状で、会員が自己資金でゼロから再建することは考えられなかった」

 -今後の課題は。
 「県道の拡幅と土地区画整理事業に伴い、再建の見通しが立っていない事業者がいる。グループ化補助金を申請できず、足踏みしている。被災した上、復興に伴う2次被害が出ないようにしたい」