都市部から移住して地方活性化に取り組む「地域おこし協力隊」が、東北でも順調に隊員数を増やしている。制度発足から10年となった2018年度は、秋田、福島両県と151市町村が計726人を委嘱した。地域社会の新たな担い手と期待されるが、任期終了後の定住率にはばらつきも生じている。

 東北6県の協力隊員数の推移はグラフの通り。18年度は宮城県丸森町23人、遠野市19人、弘前市18人など全体の7割近い市町村で協力隊員が活動している。

 東日本大震災の復興支援員などを協力隊員に切り替えて任用する自治体もあり、被災3県の伸びが目立つ。陸前高田市では復興の進展に伴い、16年度に1人だった協力隊員が18年度は15人に増えた。

 制度が普及するにつれて想定した人員を確保できない自治体が出始め、協力隊員の「奪い合い」も起きているという。

 総務省によると、16年度までに任期を終えた協力隊員のうち6割が定住を決めた。東北の定住率は青森66.7%、岩手61.1%、秋田36.8%、山形47.8%、福島61.0%。宮城は31.8%で全国最低だった。

 制度に詳しい弘前大大学院の平井太郎准教授(社会学)によると、観光協会、第三セクターなど既存組織のスタッフとして働くケースで定住率が低くなる傾向があるという。

 平井准教授は「行政職員の補充」と位置付けるような考え方を懸念。「協力隊員の理想と実際の任務にミスマッチが生じている」と指摘する。

 その上で自治体には「地域関係者の理解と協力を得て将来ビジョンを設定し、真に必要な人材を募集すべきだ」と助言する。

[地域おこし協力隊]都道府県や市町村の委嘱で地場産品の開発や販売、農林水産業の支援に取り組む事業。任期は最長3年。隊員の約7割を20~30代が占める。報酬などは1人当たり400万円を上限に国から特別交付税で措置される。任期後は定住して自ら起業するケースも少なくない。