減少局面に入った東日本大震災の復旧復興工事が、今夏の参院選で岩手県内の建設業界の動向に影響を及ぼしている。自民党は今夏の参院選比例代表に「業界代表」を擁立。一方で県政界は政権野党がにらみを利かせる。公共事業を確保したい伝統の「集票マシン」を巡り、各党の駆け引きも激しさを増しそうだ。

 県内の官民合わせた建設投資額はグラフの通り。ピークは2015年度の1兆3466億円で、震災前の10年度(5323億円)から2.5倍に膨らんだ。
 防災集団移転などに伴う造成や災害公営住宅建設、防潮堤整備といった復興需要は山場を越え、20年度で国の「復興・創生期間」が終わると公共事業は急速に減少するとみられる。
 県内の建設業許可業者は約4300社(17年度)。県建設業協会の幹部は「各地域の業者が生き残れるレベルの工事量が必要だ。政治に頼る部分は大きい」と話す。工事の急減は過当競争を招き、廃業や倒産が懸念されるという。
 こうした状況で業界が期待を寄せるのが、政府の国土強靱(きょうじん)化3カ年緊急対策(18~20年度)だ。各地で多発する自然災害に着目し、総事業費7兆円の防災減災対策を実施する。
 予算のさらなる上積みを迫るためには、参院選比例代表で3選を目指す元国土交通省官僚に票を集めることが、政権与党にアピールする早道と言える。
 自民県連の幹部も「被災地では完成したインフラの管理が重要。地域の建設業者を失ってはならない。担い手不足や低入札の対策を含めて業界振興に全力を尽くす」と秋波を送る。
 ただ、自民支持で県内の業者が一枚岩になるとは言い難い。県政トップは野党系の達増拓也知事。小沢一郎自由党代表(衆院岩手3区)が培ってきた建設業ネットワークも健在だ。
 ある建設会社の経営者は「業界代表候補は大事だが、県政の足は引っ張れない。『右向け右』と号令を掛けても業界全体が同じ方向は向けない」。
 自由県連幹部も「県内の建設業者は震災の復旧復興事業に取り組み、地域経済に多大な貢献をしてくれた。大きな産業であり、大切にしなければならない」と建設業界への気配りを強調した。