東京電力福島第1原発事故で福島市から米沢市に自主避難した元高校教諭武田徹さん(78)が、米沢藩9代藩主上杉鷹山の偉業を紹介する英文冊子を出版した。仲間のオーストラリア人教諭との共著で、キリスト教思想家内村鑑三(1861~1930年)が1908年に著した「代表的日本人」を現代的な英文に改訂した。

 タイトルは「A Life of Yozan(鷹山の人生)」でA5判54ページ。「THE FEUDAL FORM OF GOVERNMENT」(封建的統治)など6章で構成し、藩を財政難から立て直した業績や「民の声は天の声」を信条とした鷹山の思想などを紹介している。
 内村の「代表的日本人」は日本人が英文で日本の文化、思想を西欧に紹介した代表的古典で、岡倉天心の「茶の本」や新渡戸稲造の「武士道」と並び、高く評価されている。
 鷹山は西郷隆盛ら5人のうちの1人として取り上げられ、鷹山に関心を寄せてきた故ジョン・F・ケネディ元米大統領もこの本を通じて、敬意を抱くようになったという説がある。
 2001年に退職するまで福島県内の高校で教壇に立った武田さんは現職時代、地域の歴史や風土、人物などに関する英語冊子を作って教材に使っていた。その経験を生かし、注釈や英単語解説、イラスト、写真など原本にはない編集を加えて読みやすく工夫した。
 武田さんは原発事故があった11年3月以降、避難生活を続ける中で「お世話になった米沢の人たちに恩返しをしたい」との思いが募り、昨春から作業に取り組んできた。
 武田さんは「米沢には今なお鷹山公の偉業が色濃く残っており、その史実を英文で簡潔にまとめた。高校英語の教材に加え、訪日外国人旅行者向けにも活用してもらいたい」と言う。
 冊子は900円(税抜き)。連絡先は歴史春秋出版0242(26)6567。