みやぎ産業振興機構は、宮城県内の水産加工業者に生産の無駄を省く製造業の「カイゼン」導入を促そうと事例集を発行した。水産加工業は漁獲不振による原材料価格の高騰や労働力不足で経営環境が厳しい。生産量の増加、作業時間短縮といった効果が表れた事例を周知し、業界にカイゼン定着を図る考えだ。

 A4判フルカラーの52ページで1000部を発行した。機構がカイゼンの導入を支援した気仙沼市や南三陸町の企業の20事例を掲載し、加工、包装などのテーマ別に導入前後の違いを写真とイラスト付きで伝える。

 優良事例として3社が実名で登場する。気仙沼市の二印大島水産は充填(じゅうてん)包装ラインの改善で生産効率が8倍に上がった。南三陸町のカネキ吉田商店は商品の見直しにも取り組み、1人当たりの時間外労働時間を年間257時間も削減した。

 宮城の水産加工業は製品出荷額に占める原材料費の割合が製造業平均より高い一方、1人当たりの付加価値額は低く、収益性の向上が課題。ラインの機械化は進むが、多くの企業で勘や経験に基づく製品づくりが行われているのが実情だ。

 機構は2016年4月、水産加工業ビジネス支援室を新設し、生産性向上に本格的に乗り出した。大手メーカー経験者らを各社に派遣し、最長3年にわたり伴走型のカイゼン導入支援を展開。支援企業は18年度末で延べ39社に達した。

 機構の笠原恵介コーディネーターは「経営者層に事例集を手に取ってもらい、水産加工にもカイゼンの導入効果があると知ってもらいたい。支援を継続し、基幹産業の競争力を高めていく」と話した。冊子は水産加工業者を対象とするセミナーなどで配布する。連絡先は機構022(225)6697。