キリン(東京)が東日本大震災直後から取り組む被災地の産業復興支援事業「絆プロジェクト」に携わる絆づくり推進室。2013年から仙台に常駐し、14年から専任部長として復興支援に奔走してきた。

 震災では、自身も宮城県亘理町の自宅が被災。ボランティアや近所の人たちに助けられた。だからこそ「上からではなく、同じ目線で一緒に進む」との思いは一貫している。

 「人をつなぐことが私の役割」と語る。宮城県女川町では水産加工商品のブランド化を支援。石巻市では商売敵同士の水産加工業者を集め、食産業全体の販路拡大を目指した。プロジェクトで後押しした事業は95件に上る。

 通算10年以上勤務した仙台は「良くも悪くも支店経済」と分析する。「仙台といえばこれ」という強いこだわりがない分、企業や銘柄に関係なく素直に商品を受け取ってもらえる。ビール以外のウイスキーやワインも昔から需要が高い。

 7月に退職を控える今、自信を持って薦めるのが4月に味を刷新した「一番搾り」。「仙台工場の被災地に寄せる思いを感じる。これは違いますよ」。にやりと笑って太鼓判を押した。