仙台市のJR仙台駅東口で7日、宮城県内の農家が手掛けた有機野菜などを販売するマーケット「多芸多菜市」が初めて開かれた。農家以外にも、地元仙台の住民らが参加するのが特徴。モノの売り買いにとどまらない、多様なプレーヤーの出会いの場へ。手探りながら一歩を踏み出した。
(報道部・村上浩康)

 「いらっしゃいませー!」「お野菜いかがですかー!」

 7日、宮城野区榴岡の東北福祉大仙台駅東口キャンパス前。子どもたちの元気な呼び込みの声に、日曜日の宮城野通りを歩く人々が足を止める。「新鮮な野菜が街中で安く手に入ってうれしい」。通り掛かった60代女性は、大きなキャベツとブロッコリーを手に満足げだ。

 「多芸多菜市」は今回を皮切りに毎月第1日曜日に開催する。同キャンパスと、近くの住宅展示場「TBCハウジングステーション」を会場に、今回は有機野菜の産直を中心に計5ブースが出展した。

 企画したのは「アグリスタイルギャラリー東北」。生産者と都市の消費者の距離を縮め、新たな地域コミュニティーの構築を目指すプロジェクトだ。

 「農家は作物を作るだけで大変。直売の良い面はあるが、農家だけでは負担が大きい。都市住民を巻き込み、交流が広がる形をつくりたい」

 中心的に携わる特定非営利活動法人まちづくりスポット仙台のディレクター岩間友希さん(35)は語る。3月に営業終了した駅東口の商業施設「EKITUZI(エキツジ)」でファーマーズマーケットを約30回開き、得た課題を今回の枠組みに生かした。
学生らも売り手
 ユニークなのは、顔ぶれの多彩さ。生産者だけでなく、駅東口周辺の住民や子どもたち、会場を提供した東北福祉大の学生も売り手として加わった。

 呼び込みで活躍した親子ら約10人は、若林区連坊の「こども食堂Bamboo(バンブー)」などを通じた集まり。購入者が挑戦できる手作りの玉入れゲームは、子どもたちが考えて用意した。

 東北福祉大の学生も販売に汗を流した。総合マネジメント学部2年の成田向日葵(ひまわり)さん(19)は「お客さんが気軽に声を掛けてくれて楽しい。また参加したい」と笑顔で語る。
「可能性感じる」

 新たな取り組みに、生産者側の士気は高い。

 大崎市のNPO法人「鳴子の米プロジェクト」は野菜を販売したほか、多芸多菜市を旬の野菜や加工品を会員に届ける「鳴子よいっこ便」の受け渡し場所にした。上野健夫理事長(60)は「受け取りに来た人に新たな出会いや魅力を感じてもらうことで、直売所から一歩進んだ関係を築ける」と手応え十分だ。

 リンゴジュースを販売した結城果樹園(宮城県亘理町)の結城翔太さん(30)も「手探りだが、何かできるんじゃないかと可能性を感じる場所。ただ売るだけでなく、サポーターをつくる機会にしたい」と目を輝かせた。

 岩間さんは「試行錯誤しながら関わる人や仕掛けを増やし、東口の新しい盛り上がりにつなげたい」と話す。次回は8月4日だ。