東京電力福島第1原発事故で被災した福島県双葉郡の8町村で、21日投開票の参院選福島選挙区(改選数1)の各陣営が集票運動を活発化させている。前回参院選からの3年間だけでも3町で避難指示解除が進み、運動可能なエリアが広がった。復興の加速を訴える陣営に避けて通れない地域で、有権者も候補者を知る機会が増えると期待する。

 「9年ぶりに、この地で演説会を開くことができて感無量だ」

 2017年4月に一部地区を除き避難指示が解除された富岡町で9日、野党統一候補の無所属新人水野さち子氏(57)の個人演説会があった。総合選対本部長の増子輝彦参院議員は約100人を前に、双葉郡で10年参院選以来となる国政選挙の演説会の意義を強調した。

 避難地区が縮小したとはいえ、住民帰還はなかなか進まない。富岡町は人口の9割が町外避難中。地元県議は「参加者を集めるのは大変だった。福島市やいわき市から来てもらった人もいる」と汗を拭った。

 双葉郡の全8町村に出された避難指示は12年3月に広野町、14年10月以降に川内村、楢葉町、葛尾村、浪江町、富岡町で解除された。19年4月には第1原発が立地する大熊、双葉両町で初めて、大熊町大川原・中屋敷地区でも解除されている。

 現在、福島県内で帰還困難区域があるのは富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾の5町村に南相馬市と飯舘村を加えた7自治体。それぞれの区域で、国は除染とインフラ整備を一体で進める特定復興拠点を設ける。

 3選を狙う自民党現職森雅子氏(54)の陣営は避難指示が15年9月に全域で解除された楢葉町と、17年3月に一部で解除された浪江町に後援会連絡所を設けた。楢葉町後援会長の古市福男町議は「身近に拠点があると候補者に対する関心が高まる」と狙いを説明する。

 13年参院選で、森氏陣営は公示前にいわき市の仮設住宅で町民と話す機会を設けていた。古市氏は「旧避難指示区域は高齢者だけで帰還した世帯が多く、家族や近所で選挙の話をする機会が減っている」と難しさも語る。

 仙台での2年間にわたる避難生活を経て楢葉町に戻った無職女性(69)は「候補者が被災地の現状を知る意味でも、私たちが訴えを直接聞く意味でも双葉郡での選挙運動は大事。政党に関係なく、もっと来てほしい」と話した。

【福島選挙区立候補者】(1―3)
森  雅子54 自現(2)(公推)
水野さち子57 無新(立・国・社推)
田山 雅仁35 諸新