東北大は、2021年1月実施の「大学入学共通テスト」で英語の民間検定試験を出願要件としない。受験生の負担を考慮した結果だ。今後、入試改革とどう向き合っていくのか。東北大入試センター副センター長の倉元直樹教授(57)に考えを聞いた。(聞き手は報道部・佐藤素子)

東北大入試センター 倉元直樹副センター長に聞く

 -今回の判断は国立大学協会のガイドラインと距離を置いている。理由は。

◎環境整わず

 「社会的インフラに恵まれているとは言えない東北の受験生に対し、国公立大が一般入試で一律に英語の外部試験を課す環境が整っていない。受験生に著しく大きな負荷をかけることになるので、21年1月の導入は難しいと判断した」

 -20年度の大学入試から受験生の「主体性の評価」が始まる。東北大は、チェックリストによる自己申告とした。
 「合格ラインに受験生が並んだ場合にのみ、合否判定に使う。その根拠も学校が出す調査書の簡便な記述で十分とした。東北大が求める主体性は日々の努力の積み重ねであり、相当程度、筆記試験で測れる。本人や学校、大学の負担増は避けたい。主体性を過度に意識した活動が増え、本来の生活が妨げられてはならない」

 -東北大は高校と連携する「高大接続」や入試改革を先導してきた。

◎AOに効果

 「この20年で高校と大学との相互交流が進んだ。AO入試には教員が面接を通じて一層学生に関心を持つ効果もあることなどから、東北大ではより入試を重視するようになった」
 「ただ、AO入試は当初8.5%だった入学定員を20%にするのに20年かけている。急激な変化はミスを生みやすいし、受験生の負担や不安が大きくなる。大きな変革ほど年月をかけて綿密に取り組まなければならない」

 -大学入学共通テストと、現在の大学入試センター試験の前身である共通1次試験導入時との違いは。
 「共通1次試験の導入には、難問奇問だらけで特殊な勉強が必要な国立大の個別試験を改善するナショナルコンセンサス(国民的合意)があった。政府の『教育再生実行会議』が13年に新テスト導入を提言した時、大学側からも高校側からも要請はなく、唐突な感じがした」

 -大学入学共通テスト導入に伴い、東北大の2次試験に変更はあるか。
 「配点等が今まで通りでいいかは検討している。スピーキングの導入については議論の最中だ。受験生が戸惑う急な変更はない」
 「東北大合格者の出身高の上位は公立高で、普通の高校生が頑張って届く一番上の大学と自負している。その立ち位置は大事だと思っている。2年生も3年生と同様、受験に備えた勉強をしつつ、高校生活を楽しんでほしい」