災害公営住宅の収入超過世帯に適用される家賃割り増しを巡り、仙台市内の入居者有志が市に減免措置の要望を重ねている。市は民間賃貸住宅による住まい確保や、既存の市営住宅との公平性を理由に支援策は実施しない方針。協議は平行線をたどっている。

 市議会棟で7月29日にあった意見交換会。市内5団地に暮らす住民ら14人が参加し、家賃上昇で退居が相次ぐ実情を市に訴えた。
 太白区のあすと長町第2災害公営に住む薄田栄一さん(66)は、家賃が3倍に上がり5月に引っ越した世帯について説明。「近くに空き物件がなく、子どもは通い慣れた学校にバスで通学していると聞く。個別事情を考慮して値上げを猶予するなど柔軟な対応が必要だ」と指摘した。
 西本憲次市営住宅管理課長は「市内には民間賃貸が豊富にある。定住促進策の一環として独自減免を講じている沿岸市町とは事情が異なる」と強調した。
 公営住宅法は入居3年後に所得月額が15万8000円を超えると明け渡しの努力義務が生じ、4年目以降は家賃が段階的に引き上げられる。市内では本年度、176世帯が対象となり、上昇幅が最も大きい世帯は前年度比10万8400円増の月額14万3400円になった。
 市によると、一般の市営住宅の入居申し込み倍率は平均15倍の高水準で推移。対策として、災害公営の空き室の一部を一般枠に振り替えて募集している。西本課長は「公営住宅の入居希望者は多い。被災者であっても一定の収入がある人には相応の負担をお願いするしかない」と理解を求める。
 住民有志は11月、「住みよい復興公営住宅を考える住民の会」を設立する方針だ。世話人の川名清さん(70)は「自治会の担い手となる世代がいなくなるのは大きな損失。退居後の生活に不安もあり、制度を見直してほしい」と話す。