東日本大震災から9度目のお盆を迎えた東北の被災地で、自治体が保管する身元不明などの遺骨が岩手、宮城の両県に178柱あることが分かった。歳月の経過で身元確認や引き渡しが困難になり、保管が長期化。専用の納骨堂を整備する自治体も相次ぐ。
 河北新報社が7月下旬、岩手、宮城、福島3県の沿岸37市町村に聞いたところ、岩手、宮城両県の16市町が遺骨を保管していた。県別の内訳は表の通り。2014年7月に3県で計223柱あった遺骨は17年8月時点で岩手、宮城両県の計189柱に減ったものの、遺族への引き渡しは足踏み状態が続く。
 市町別での最多は岩手県大槌町の66柱。石巻市30柱、気仙沼市24柱が次いで多い。大槌町では18年2~3月、県警のDNA型鑑定を通じて身元が確認された3柱を遺族に引き渡して以来、新たな身元の判明はない。大槌町は「震災時の火災で損傷した遺骨もあり、確認は年々難しくなっているようだ」と話す。
 親族の情報をはじめ手掛かりがつかめず、身元確認が困難な例も少なくない。2柱を市内の寺で保管する東松島市は「遺族からの相談はほとんどない」と打ち明ける。遺体のDNA型鑑定は県警が行っているが、近親者の死亡などでデータの照合が難しくなっているとみられる。
 宮城県警は「近親者が震災で犠牲となり鑑定できなかったり、独り暮らしのため行方不明の届け出自体がなされていなかったりするケースも考えられる」と指摘。「遺族の高齢化や死亡で、身元確認が難しい例が出ている可能性もある」(岩手県警)ため、宮城、岩手両県警は引き続き市民に情報提供を呼び掛ける。
 保管が長期化する中、専用の安置場所を整備する自治体も出てきた。大槌町は17年、8柱を預かる釜石市は昨年8月、それぞれ納骨堂を設け、寺などで保管していた遺骨を安置した。
 名取市は1日、震災犠牲者らを対象とする墓地公園を開設した。市内の寺に安置する4柱を近く、園内の納骨堂に移す。市は「寺の厚意にいつまでも甘えられない」と説明する。
 多賀城市など3市町では、身元が判明していながら引き取り手がいない遺骨を保管している。
 多賀城市が市内の寺に安置する5柱は全て身元が判明しているが、「生前のつながりが薄い」などの理由で引き取る親族がいないという。市の担当者は「遺族にもさまざまな事情があり、なかなか動きが取れない」と話す。
 福島県の沿岸市町が保管していた遺骨は全て遺族に引き渡され、現在、自治体で預かる遺骨はない。