秋田大大学院理工学研究科の熊谷誠治教授(電気電子工学)らの研究グループは、炭化したもみ殻を使って蓄電デバイス「リチウムイオンキャパシタ」の正極・負極材料の製造に成功した。ヤシ殻炭などの炭素系材料に比べて性能に優れ、製造工程を簡略化できる可能性がある。もみ殻の新たな活用法として注目を集めそうだ。

 もみ殻は国内で年間160万トン排出されるが、シリカ(酸化ケイ素)を含むため自然分解が遅く再利用が課題だった。

 リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオン電池と電気二重層キャパシタとの中間的な性能を持つ。瞬発的にエネルギーを入出力する能力はリチウムイオン電池より高く、エネルギーをためる能力は電気二重層キャパシタを上回る。正極と負極で充放電の原理が異なり、正極に表面積の大きい活性炭、負極には多量のリチウムイオンを安定的に貯蔵できる炭素を用いる。

 熊谷教授らは2013年、もみ殻炭に含まれるシリカをアルカリ水溶液で除去することで発達した細孔構造を持つ活性炭の製造に成功。正極材料としての優れた性能を確認した。

 負極の製造では、炭素にリチウムイオンをあらかじめ貯蔵させるプレドープ工程が重要になる。しかし、従来の炭素系材料は、イオンが多いと表面に金属の膜を作るためにショートする危険性があった。

 グループは、もみ殻炭のシリカが化学反応でイオンを取り込むことを見つけた。シリカは多量のイオンを貯蔵すると膨らむため電極としての構造がもろくなったが、もみ殻炭をアルカリ水溶液に漬けてシリカを30~40%除去することで耐久性を向上させた。

 新たな製造法では、部分的に残したシリカが過剰なイオンを取り込んで安定し、プレドープ工程を簡略化できた。熊谷教授は「市販の炭素系材料より性能面で優れており、環境問題の解決にも貢献できる」と話している。

 負極の製造方法は特許申請している。研究成果は国際的な専門ジャーナル誌のウェブ版に掲載された。