国の農産物検査がコメ作りにネオニコチノイド系農薬の過剰使用を招いているとして、環境保護団体グリーンピース・ジャパン(東京)などが23日、検査の見直しを求めて秋田県大潟村の農家と共に集めた1万9326人分の署名を農林水産省に提出した。

 農水省は1月、民間検査機関や流通関係者らによる懇談会を通じて検査規格の見直し作業を始めた。署名の提出は、検査法の改善に農業現場の声を反映させることが狙い。

 グリーンピースの関根彩子さん(51)は「検査は主に着色粒の混入度合いで等級を格付けするため、見た目重視で農薬を無駄に使わせている。農薬を使わない選択をしやすい制度にすべきだ」と要望した。

 受け取った米麦流通加工対策室の上原健一室長は「消費者の多様なニーズに応えるコメの生産流通体制を考える上で意見を参考にしたい」と述べた。

 コメの一部が茶褐色になった着色粒の主な原因は、カメムシがでんぷんを吸った跡。人が食べても害はなく食味にも影響しない。

 検査では、着色粒の混入限度は1等米が0.1%(1000粒に1粒)、2等米0.3%、3等米0.7%。2等米は1等米より60キロ当たり500~1000円程度安いため、農家は1等米基準を満たすためネオニコ系農薬を使うケースが多いという。

 格付け後に精米業者に出荷されたコメの多くは、等級に関係なく色彩選別機で着色粒が除去され、袋詰めされる。農家には等級分けを疑問視する声がある。

 署名活動に携わった大潟村農家の今野茂樹さん(65)は「農薬を抑えた安全安心なコメこそ今の消費者ニーズにかなっている。着色粒基準の廃止を含め、検査の在り方を抜本的に見直してほしい」と語った。

[ネオニコチノイド系農薬]たばこに含まれるニコチンに似た物質を主成分とする農薬の総称。神経の働きを阻害して昆虫を殺す。1990年代から殺虫剤として世界中で使われるようになった。ミツバチの大量死につながっているとの専門家の指摘があり、欧米では規制の動きがある。