秋田県由利本荘市の羽後本荘-矢島駅を結ぶ第三セクター由利高原鉄道は、経営計画を策定する部署を新設する方針を固めた。6月末に社長に就任した萱場道夫氏(65)=元仙台市宮城野区長=が河北新報社の取材に応じ、明らかにした。誘客戦略の練り上げに専念できる環境をつくり、組織の一体感も高めていく。

 新設する部署は経営戦略構築の中核を担う。萱場氏は、終着駅の矢島駅周辺に多くの観光客を集めることが経営の「一つの鍵になる」とみる。

 鮎川駅の近くに2018年7月に開館した「鳥海山 木のおもちゃ美術館」など沿線施設とも連携し、矢島地域の祭りに人々を呼び込むことなどを思い描く。

 由利高原鉄道は現在、乗車券に4種類の地酒が付いた「蔵めぐりの旅セット」や、秋田由利牛が入った「ユリテツカレー」などを販売している。新設部署のメンバーには、これらの工夫を凝らしたオリジナル商品の発信にも関わってもらう方針。

 萱場氏は社長に就いた約3カ月前を振り返り、「社員が個人単位で行動しているように映った」と話す。商品開発や宣伝を、組織全体で考えていくことが必要だと感じたという。

 仙台市職員時代の1990年代半ば、赤字だったコンサート会場とホテルの複合施設「仙台サンプラザ」(宮城野区)に出向し、社員の意識改革や施設の整備に当たった経験がある。

 「今の由利高原鉄道は当時の仙台サンプラザと似ている部分がある。経験を生かせると思った」と話す。

 由利高原鉄道は92年度から赤字が続く。「赤字は数年では返せないが、返せる基盤をつくっていければいいと思う。お客さまを多く呼び込み、運輸収入をしっかり確保できるようにしたい」と決意を語る。