芸術家の卵が地域に滞在し創作活動や住民と触れ合う市のプロジェクトが2~20日、むつ市川内町で展開された。若手芸術家に創作の場を提供するとともに、仕上がった作品で美術館のなかった市に「ミニ美術館」をつくる狙いだ。

 いずれも東北芸術工科大大学院(山形市)の中山てなさん(25)、藤本桃子さん(25)、琢磨香織さん(23)の3人が、下北地方の仏ケ浦(佐井村)、恐山(むつ市)、尻屋崎(東通村)などを訪れてスケッチを書きため、テーマを絞り込んだ。

 中山さんは川内地区を流れる川内川の上流にある親不知(おやしらず)渓谷を、藤本さんは地区にある樹齢数百年のイチョウを、琢磨さんは川内の夜空をそれぞれテーマに選んだ。製作途中の作品を大学に持ち帰って完成させ、来年2月に市に寄贈する。

 地域住民との交流も活発に開かれ、小学校であんどん作りを指導したり、60歳以上の住民に似顔絵をプレゼントしたりしたほか、地域の祭りにも参加した。

 藤本さんは「海、山、川が近くにあり、好きなだけスケッチができた。描いている時に住民の人と話したり、食べ物をもらったりしたことが印象に残っている」と話した。

 プロジェクトは3年計画で今年が2年目。市は川内庁舎のホールにこれまでの作品やスケッチを展示しており、プロジェクト終了後はホールを「ミニ美術館」に改装し、市民に親しんでもらう狙いだ。

 川内庁舎の担当者は「地域の魅力を芸術で発信してもらえる。美術館のない地域で、子どもたちが作品の創作現場に触れる機会にもなった」と話した。