東北の浜がサンマの漁獲不振に直面している。主要漁港の水揚げは記録的不漁で終わった2017年を下回るペースが続く。漁場が遠ざかり、極端な品薄と魚価の高騰に苦慮する水産関係者は「大衆魚が嗜好(しこう)品になってしまう」と危機感を募らせる。(大船渡支局・坂井直人、石巻総局・関根梢)

 大船渡市魚市場に19日、地元の大型サンマ漁船が接岸した。ただ、水揚げは4隻合わせてもわずかに36トン。8月に本格的なサンマ漁が解禁されて以降の総水揚げ量は90トンしかなく、17年同期の16%にとどまる。

 例年なら千島列島や北方領土の沖合に漁場を形成するが、今年は北海道根室市から1000キロ以上も東の公海まで範囲を広げて出漁している。

■費用かさむ一方

 漁場から3日かけて大船渡に入港した「第18三笠丸」(199トン)の三浦博幸漁労長は「相変わらず群れが薄い」と嘆く。燃料費がかさむ一方、1隻当たりの平均漁獲量は例年より大幅に減っている。

 漁場までの燃料を積み込めない小型船は、漁自体を見合わせざるを得ない。

 大船渡の「第7稲荷丸」(19トン)は8月下旬以降、北海道浜中町の霧多布港に停泊したまま身動きが取れずにいた。2度の出漁を試みたが、千葉幸男船主は「魚群探知機に映るのはマイワシだけだった」と言う。

 収入がなくても乗組員の人件費、保険などの支出は待ったなしだ。

 千葉船主は、根室市の東方沖で17日に起きたサンマ棒受け網漁船の転覆事故に絡めて「年々漁場が遠くなり、命と経営のリスクが高まっている。乗組員の確保も悩みで、サンマ漁からの撤退も考えている」と語る。

 苦労して水揚げしたサンマは型が小ぶりで脂の乗りも良くない。それでも品薄感から浜値は上昇。1キロ当たりの平均単価は大船渡で788円と前年に比べて約3倍に跳ね上がった。

 鮮魚卸の経営者は「これでは買値が売値を上回って逆ざやになってしまう」と悲鳴を上げる。

 東北の水揚げは、気仙沼も27トンで17年同期の15%にとどまる。宮古、釜石、女川の各港に至っては、いまだに初水揚げがない状態だ。

■加工品にも暗雲

 生サンマやすり身商品を製造、販売するワイケイ水産(宮城県女川町)はイカの取扱量を増やすなど多角化に腐心するが、木村喜一社長は「女川はやはりサンマが主力。他の魚種ではカバーできない部分も大きい」と先行きを懸念する。

 漁業情報サービスセンター(東京)によると、サンマの資源量減少に加えてマイワシが日本沿岸への来遊を妨げている可能性もあると指摘する。

 本来なら最盛期を迎えるはずのサンマ漁。サービスセンターは、今後も「多少は群れがまとまって漁獲が増えるとみられるが、全体的には魚影が薄いまま日本沿岸の沖合を南下していくのではないか」と推測する。