縦横に走る道路や寺の墓石、軽トラック、ビニールハウスが水没し、水害の威力を物語る。

 堤防が約100メートルにわたり決壊した宮城県大郷町粕川の吉田川から濁流が周辺流域に流れ込み、一帯は茶色の水に浸っていた。

 決壊は13日午前7時50分ごろ。記者が現場に着いた午前10時半すぎにも、孤立した集落で救助を求める人の姿が確認できた。

 あふれた水が音を立てて流れ続ける。孤立していた住民19人は午後6時までにヘリコプターやゴムボートで次々に救助され、幸い人的被害はなかった。

 妻の実家が浸水したという同県大和町の男性会社員(37)は、泥の海と化した様子に「いつ復旧できるのか…」と焦りを募らせた。

 現場では、目の前の自宅が浸水しながら、必死で救助活動を続ける消防団員の姿もあった。

 吉田川は1986年の8.5豪雨や2015年9月の宮城豪雨(関東・東北豪雨)でも氾濫。国土交通省北上川下流河川事務所によると、今回は大郷町の他に富谷市志戸田、大崎市鹿島台、大和町落合、同県松島町竹谷の5市町の広い範囲で越水などを確認した。
(富谷支局・藤田和彦)

◎悪夢再び 住民消沈 宮城・大崎

 宮城県大崎市古川西荒井の渋井川は13日未明、両岸で1カ所ずつ氾濫し、約130戸が一時孤立した。2015年9月の宮城豪雨でも堤防が決壊し、宮城県が改修工事を進めていた。

 午前6時すぎ、ボートで助け出された地方公務員の女性(47)は「堤防の補強をしたから大丈夫かな、と安易に考えてしまった」と青ざめた様子で話した。

 市によると午前2時45分、渋井川の左岸で水があふれたと連絡が入り、4時5分には約600メートル下流の右岸が決壊した。

 4年前の豪雨時に避難指示を出さなかった反省を踏まえ、市は12日午前、市内10カ所に避難所を開き、自主避難を呼び掛けたが、自宅にとどまる人は少なくなかった。

 徹夜で玄米を高い場所に移す作業をしていた農業相沢正悟さん(70)は、家族6人で自宅にとどまった。「米が水没したら食べていけない。避難は考えなかった」という。

 午前3時に「水が上がってきた」と知人から連絡を受け、自宅2階に避難。「今回は辛うじて助かった。前回復旧工事をした場所と別な所から氾濫した」と肩を落とした。
(大崎総局・喜田浩一)