台風19号の被災地で、住宅の浸水被害に対する公的支援の拡充を求める声が高まっている。被災者生活再建支援法に基づく支援金は「大規模半壊」以上が対象。居住の可否にかかわらず、1メートル未満の床上浸水には原則支給されない。被災者からは改善を求める声が上がっている。
(報道部・桐生薫子)

 壁やふすまに汚泥が付着し、異臭が鼻を突く。畳は水を吸い、全て廃棄した。床板も傷み、歩くとベコベコと異音がする。

 「何もかも泥をかぶった。何を頼りに再建すればいいのか」。宮城県丸森町除南で食堂を営む白木寛一さん(72)、妻礼子さん(74)の店舗兼住宅は豪雨で床上浸水した。隣の同県角田市にある親戚宅に避難し、片付けに通う日々を送る。

 10月25日、家屋の被害状況を判定する調査員が白木さん宅を訪れた。調査員は内閣府のガイドラインに沿い、ふすまに残った浸水跡のうち最も浅い部分に測定機器を当て、「床上浸水50センチ」との判定結果を伝えた。

 家屋が浸水した場合の被害判定と支援金の支給額は図の通り。床上1.8メートル以上は「全壊」で、1メートル以上1.8メートル未満は「大規模半壊」となる。ともに支援法の対象となり、最大で300万円を受け取れる。

 ただ、床上浸水でも1メートルに満たない場合は「半壊」とされ、倒壊の恐れなどで解体しない限り支援金は支給されない。

 自宅が半壊に当たるとみられる白木さんは「水深だけで被害の実態は図れない。1メートルでも50センチでも、住み続けられないという事実は一緒じゃないか」と理不尽な線引きに憤る。

 宮城、岩手、福島の3県では住宅被害が少なくとも2万5000棟あり、浸水被害は9割に及ぶ見通し。多くが該当する床下浸水は「一部損壊」とされ、救済対象からは外れる。

 丸森町の半沢一雄町民税務課長は「断熱材を使っている住宅は床下浸水でも壁が水を吸い上げてしまう。水害は目に見えにくく、実態が分かりにくい」と現状の問題点を指摘する。

[被災者生活再建支援法]大規模な自然災害で住まいを失った世帯に支援金を支給するため、1998年に定められた。家屋の損害割合に応じた「基礎支援金」と、建設や補修など再建方法に応じた「加算支援金」がある。都道府県が拠出した基金から支給し、国が支給額の5割を基金への補助金として負担する。