東京電力福島第1原発事故後の福島県内の自然環境の現状を知ってもらおうと、福島大環境放射能研究所が24日、京都市の京都大で研究報告会「福島の森・里・川・海の今」を開いた。放射性物質の影響が低下した状況を伝えるとともに、住民帰還や営農再開を巡る課題を指摘した。

 市民ら約100人が参加。福島大と京都大の研究者計9人が農地や森林、海洋の放射性物質の影響に関する研究成果を発表した。

 福島大環境放射能研究所の塚田祥文所長(環境放射生態学)は、農地に関する調査結果を紹介。営農を再開した浪江町や飯舘村などで、農作物の放射能検査の結果が国の基準値を大きく下回っているデータを示し「除染や土壌管理の効果が出ている」と述べた。

 福島県産米が、出荷前の全袋検査で安全性が確認されている実態も報告。営農が再開されていない帰還困難区域では「農業用水を供給するため池の管理が重要」と強調した。

 京都大の大手信人教授(森林科学)は、森林にある植物の放射性セシウム蓄積量が減少傾向にあると説明した。一方で、国が森林除染を民家近くに限定していることが「住民帰還の心理的な障壁となっている可能性もある」と語った。