東日本大震災の津波で181人が犠牲になった岩手県宮古市田老地区では11日、住民ら約150人が高さ10メートルの防潮堤の上で海に向かって手を合わせた。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、一列に手をつないで復興を誓う場面はなかった。

 午後2時46分の地震発生時刻に合わせてサイレンが鳴り響き、一斉に黙とうする住民たち。妹夫婦が行方不明という宮古市の無職前川悦子さん(72)は「しっかり生きろと言われたような気がした」と言う。

 防潮堤での黙とうを呼び掛けた宮古市のNPO法人「津波太郎」理事長の大棒秀一さん(68)は「手をつながなくても気持ちは伝わったと思う」と話した。

 防潮堤の海側では高さ14.7メートル、総延長1.2キロの新防潮堤建設が進む。現在、約400メートルができ、2020年度中に完成する予定。大棒さんは「今後は海が見える新防潮堤での追悼を検討したい」と語った。