福島県二本松市の二本松郵便局で新型コロナウイルス感染が確認された関係者が8人に上り、仙台市青葉区の英国風パブ「HUB仙台一番町四丁目店」に続く東北2例目のクラスター(感染者集団)発生となった。複数の職員が発症後も勤務し続けたことで拡大したとみられ、専門家は「感染対策の不備」を指摘する。体調把握は現在は自己申告ベースとなるため、組織としてどう対策を講じるかが課題となる。

 8日までに窓口担当の30代男性と50代男性、金融渉外担当の40代男性2人、総務担当の50代男性の感染が判明。国がクラスターの目安として示している「1カ所で5人以上」に達した。

 9日は20代男性と50代男性、3月末で退職して多賀城市に転居した30代男性も感染者に追加された。クラスターが県境を越えて広がる実態がうかがえる。

 福島県によると、窓口担当の30代男性ら4人は3月30日、総務担当の50代男性は4月1日、20代男性は5日にそれぞれ発熱などの症状が出たが、その後も1~3日出勤していた。

 県感染症対策アドバイザーの金光敬二県立医大教授は「発熱したら直ちに休まないと感染の輪がどんどん広がる。複数人が発症後も勤務しており、組織としてどんな取り決めがあったのか疑問だ」といぶかる。

 日本郵政によると、本人が体調不良を申し出た後に休暇を取らせたが、保健所が行動歴を調べた結果、申し出の数日前に既に症状が出ていたことが分かった。

 担当者は「外見で分からない症状の有無は自己申告に頼っている部分が多い」と説明する。郵便は緊急事態宣言時でも継続が求められる業務の一つ。だが勤務前の検温といった対策は取っておらず、検討課題となっている。

 県によると同郵便局の職員122人のうち、感染者の濃厚接触者は少なくとも23人。今後増える可能性がある。利用者への拡大の恐れもあり、県は保健所などへの相談を呼び掛ける。

 定義上はクラスターには含まれないが、感染は職員の家族3人にも広がっている。

 9日は専門業者が同郵便局の消毒を実施。入り口の自動ドアには「当面の間、窓口業務などを休止する」との張り紙があった。近くに住む農業女性(77)は「10日ほど前に郵便局に行った。自分も感染していないか心配だ」と話した。