福島県大熊町が大川原地区に建設を進めてきた福祉関連施設が完成し、13日に開所した。東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が町の一部で最初に解除されて1年。町は「町全体の復興の足掛かり」と位置付けている大川原地区で残る商業施設、幼小中一貫校の整備を急ぎ、多くの町民が居住していた下野上地区の再生を本格化させる。

 町役場東側の約5800平方メートルの敷地に、認知症高齢者グループホーム「おおくまもみの木苑」、住民福祉センター、福祉事業者事務所の3棟を建設した。

 認知症高齢者のグループホームは定員は18人。本年度は9人を募集し、町外避難する高齢者が4月下旬から順次入居する。

 センターは町社会福祉協議会の活動拠点で、会議室やトレーニング機器を備えた多目的室もある。隣接する災害公営住宅の入居者らの交流の場にもなる。事務所にはグループホーム指定管理者の社会福祉法人が入居。託児所も設け、町内で働く人をサポートする。

 事業費約9億8700万円は全額町費で賄った。診療所も併設予定で、課題の医師確保に引き続き取り組む。町保健福祉課の担当者は「帰還する高齢者が安心して暮らせる環境を整えたい」と話す。

 昨年4月10日に避難指示が解除された大川原地区には役場庁舎、災害住宅(92戸)、イチゴ工場などが完成した。災害住宅の入居率は75%、移住者も入居できる再生賃貸住宅(40戸)は85%。1日現在で町内に住む町民は196人になった。

 大川原地区に民間賃貸住宅はなく、今後人口が大きく増える見通しはない。町は東電の社員寮を含めた現在の居住者を836人と推定する。

 商業施設、宿泊・温浴施設は業者の公募が不調で、2021年2月に完成がずれ込む。一貫校は22年度の開校を見込む。約1万人が暮らしていた下野上地区は帰還困難区域で、このうち特定復興再生拠点は22年春の避難解除を目指す。