新型コロナウイルス感染の有無を調べるPCR検査について、開業医らが保健所に検査を依頼しても断られるケースが宮城県内で続出している。最前線に立つ医師からは「患者が医療難民にならないよう、依頼に確実に応じてほしい」との声が上がっている。
(報道部・勅使河原奨治)

 「このままでは患者との信頼関係が崩壊しかねない。患者も行き場を失い、さまよいかねない」。名取市のたんのクリニックの医師で、同市医師会の丹野尚昭会長が危機感を募らせる。

 同医師会(会員76人)が3月1日~4月25日、地域の47の医療機関に実施したアンケートによると、医師から保健所へのPCR検査依頼は35件。4割が拒否され、実施は21件にとどまった。

 現場の医師らによると、国が2月の時点で受診・相談の目安に挙げた「37.5度以上の熱が4日以上続く」患者は、新型コロナの感染拡大前から数多くいたという。医師側が経験に基づいて依頼を絞っているにもかかわらず、全てが受け入れられているわけではない。

 たんのクリニックでも、イタリアに渡航歴がある患者の検査を断られたことがある。丹野会長は「原因が分からないまま、具合が悪い患者を何もできず見守るしかない」と嘆く。

 新型コロナの流行以降、県内の大きな病院が1次医療機関の紹介がない患者を受け入れない傾向が強まっているという。丹野会長は「私たち開業医が患者を受け入れなければ患者は行き場を失う。現場からの検査依頼が断られるようでは地域医療がもたない」と訴える。

 現状では帰国者・接触者相談センター(保健所)から帰国者・接触者外来(県内22医療機関)での受診に直接つながるケースは、濃厚接触者を除きほとんどない。地域の医師が最初に患者を診ているのが実情だ。

 こうした状況を踏まえ、名取、岩沼両市、亘理郡の3医師会は4月17日、医療機関からのPCR検査依頼に確実に応じるよう、県塩釜保健所に要望書を郵送した。

 丹野会長は「看護師や事務員も陽性か陰性か分からない患者と最初に接し、地域医療を支えている。保健所は患者を選別せず、医師の声をしっかり聞いてほしい」と切望した。