原子力規制委員会は13日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書案」を委員5人の全会一致で了承した。国内初の商業用工場として本格稼働の前提となる審査に事実上「合格」した。今後、一般からの意見公募や経済産業相への意見照会などを経て正式合格となる。

 原燃は2021年上期の完工を目指すが、正式合格後も設備の工事計画の審査が続くため稼働時期は見通せない。再処理で取り出したプルトニウムを使うための高速増殖炉は、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり、核燃料サイクル政策は実質的に破綻している。工場が完成しても、どれだけ存在意義を示せるのかは不透明だ。

 審査書案では耐震設計の目安となる基準地震動(最大想定の揺れ)を原燃が当初見込んだ600ガルから700ガルに引き上げた。海抜55メートルに立地するため、津波の影響は受けないと判断。敷地近くの活断層「出戸西方断層」は現地調査の結果を踏まえ、長さを申請時の10キロから11キロとした。

 重大事故としては臨界や水素爆発など六つの事例を想定。冷却機能が失われて高レベルの溶液や廃液が沸騰し、放射性物質が放出されるといった原発にはない事象への対策も明記した。

 規制委の更田豊志委員長は会合後の記者会見で、原燃が目指す完工時期について「アンビシャス(野心的)だと思う。今後の審査の対象となる設備や機器の量は膨大。原燃がどれだけ念入りな計画を立てられるかだ」と話した。

 工場の完成は当初、1997年の予定だった。2006年に始まった試運転では廃液を「ガラス固化体」に加工する作業でトラブルが相次ぐなどし、完成時期は計24回延期された。原燃は14年1月に新規制基準適合性の審査を申請。17年には重要設備への雨水流入といったずさんな安全管理が発覚し、約半年にわたって審査が中断した。

 原燃は「審査書案の了承は大きな前進であり、引き続き審査合格に向け全力で取り組む。約束した安全性向上対策を確実に現場に反映し、地域の皆さまに安心してもらえる工場を造り上げる」との談話を出した。
[使用済み核燃料再処理工場]全国の原発で出た使用済み核燃料を処理し、再び燃料として使う核燃料サイクル政策の中核施設。取り出したプルトニウムはウランとの混合酸化物(MOX)燃料に加工し、国内の原発で利用する。最大で年間800トンの燃料を処理し、約8トンのプルトニウム(うち核分裂性4.8トン)を抽出する。大手電力会社などが出資する日本原燃が1993年に着工。完成時期はトラブルや東日本大震災の影響で計24回延期された。総事業費は13兆9400億円に上る見通し。