新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関に対する「空床補償」で、福島県は東北で唯一、国の基準に独自に上乗せする。各病院は一般患者の入院を減らして空き病床を確保しており、外来診療の減少などと相まって経営を圧迫する。県は「打つ手を誤れば協力してくれた病院がつぶれかねない」と危惧する。

 県は新型コロナ患者のために一般病床の空きを確保した医療機関に、1床当たり1日4万円を支給する。国の制度の補償単価は1万6000円で、県が2万4000円を上乗せする。国が本年度1次補正予算で1兆円を計上した地方向け臨時交付金を財源に充てる。

 集中治療室(ICU)と人工呼吸器を備える病室の空床補償はそれぞれ、国基準の単価のままの9万7000円と4万1000円とする。県内感染者の重症化率は約2%にとどまるため、感染拡大への備えでは、中等症以下の患者を治療する一般病床をどれだけ確保できるかが重要になる。

 県新型コロナ対策本部は「98%の患者を受け入れる病床の補償が最もプアー(貧弱)だ」と問題点を指摘する。

 福島が上乗せを決めた背景には、国の制度ではカバーされない別の課題もある。

 県病院協会会長を務める井上仁・済生会福島総合病院長は「新型コロナ患者を受け入れると、同じ廊下に面した別の病室も感染防止の観点から使えなくなる」と説明する。県によると、この損失分は国の空床補償の対象にならないという。

 福島総合病院は不急の手術や健診の中止も重なったため、通常なら3億円以上ある1カ月の病院収入が4月は半減した。井上院長は「補償単価の引き上げは非常に助かる」と歓迎する。

 東北の他県は「補償の増額の話はない」(青森県)「国のスキーム通りに実施する」(秋田県)など、現時点では国の基準に沿って空床補償を実施する方針。

 福島県は帰国者・接触者外来を設置する医療機関に外来診療の減少分を補う独自制度も設ける。担当者は「福島は民間病院が多く、協力を求める以上は県としても思い切った支援をしなければならない」と話す。