新型コロナウイルス流行に伴う緊急事態宣言が秋田県を含む39県で解除され、24日で10日になる。秋田市の歓楽街・川反の飲食店では今も休業や時短営業の店が少なくない。「開けば赤字」。宴会自粛ムードと県外客の激減で秋田随一の夜の街が苦境に立たされている。

 きりたんぽ鍋が有名な老舗料亭「濱乃家(はまのや)」は4月末から休業が続く。東京や大阪からの来客を接待する店としても知られ、例年であれば7月ごろまで予約が入っているはずだった。

 「本当は店を開きたいが、再開すれば赤字が膨らむ。八方ふさがりだ」と竹島知憲社長(65)。新米の収穫が始まり、きりたんぽの需要が増える9月下旬の再開を目指す。

 老舗料亭「秋田乃瀧」も事情は同じだ。7日の再開後は午後10時までの短縮営業。斉藤育雄店長(68)は「依然として県内に自粛ムードが残る。県外客が来ないと通常営業は難しい」と現状を分析する。

 地元の常連が予約した日にのみ営業するのは和食料理店「お多福」。普段は県外客の利用も多いが、安倍太郎社長(59)は「常連客の場合は連絡先を把握しており、感染者が出ても対応しやすい。知らない人が来るのが一番怖い」と複雑な胸中を明かす。

 「夏の甲子園大会や県中総体が中止になっているのに大人が飲み歩いていいのかどうか」と悩むのは貝料理専門店「貝々」の伊藤正希店長(41)。22日に再開したものの「先が見えず、どうしていいか分からない」と本音を漏らす。

 ローストビーフ専門店「ウシマル」は2時間早い午後10時に店じまいする。伊藤剛広代表(42)は「再開は悩んだが経済を回すことも大切」と説明。「今後はオンライン飲み会やテークアウトなどがはやる。新しい時代に合わせる必要がある」と危機感を抱く。

 感染第2波への懸念もある。居酒屋「つじのや」の辻洋一店主(48)は「休業要請に応じたことによる県や市の協力金はあるが、店の維持費などで消えてしまう。第2波が来たときに同じように対応してくれるのか」と不安をのぞかせる。

 飲食店経営者らでつくる川反外町振興会の長沢欽一会長(53)は「ワクチンが開発されるまで人は戻らないのではないか。加盟店をサポートしたいが対応策が見当たらない」と頭を悩ませる。