東北のコメ産地が、新型コロナウイルスの感染拡大を嘆いている。売り出し中の銘柄米は首都圏などでのPR活動が軒並み中止に追い込まれ、消費動向は見通せない。増産体制を敷き、勝負の年に挑むはずが、出はなをくじかれた格好だ。

 2018年に本格デビューした宮城県の高価格帯米「だて正夢」。20年は作付けを前年比23.3%増の842ヘクタールに拡大し、知名度向上に注力しようとした矢先、コロナ禍に見舞われた。

 「どうしようもない状況で気がめいった」。県みやぎ米推進課の高沢和寿課長は苦笑する。

 東京都や仙台市で3月に予定した販促イベント計20件がキャンセルに。来場者が8万人を超えるアジア有数の食品見本市「フーデックス・ジャパン」(千葉市)も含まれるだけに落胆は大きい。高沢課長は「メディアを活用した空中戦も考える」と挽回策を練る。

 コメ消費が落ち込む中、各産地は個性的なブランド米で生き残りを図る。

 日本穀物検定協会の食味ランキングで、特Aを獲得した「つや姫」と「雪若丸」を擁する山形県。吉村美栄子知事が行う田植え企画は開催が危ぶまれたが、今月20日に実施。知事自らが東京で新米を売り込むトップセールスに望みをつなぐ。

 県産米ブランド推進課の高子郁子課長補佐は「感染の影響で集客イベントを開けなくなるのは痛い」と気をもむ。会員制交流サイト(SNS)を活用した情報発信などに活路を見いだしたい考えだ。

 全国唯一、感染者未確認が続く岩手県。「金色(こんじき)の風」「銀河のしずく」の二枚看板で市場での評価確立を目指す中、県産米戦略室の佐藤実戦略監は「収束が長引けば、PR戦略の関連予算を組み替える必要がある」と先行きを不安視する。

 外出自粛で人出が減り、外食産業は冷や水を浴びせられた。「巣ごもり消費」による家庭用米の伸びは限定的で、業務用米のだぶつきが懸念される。

 福島県のオリジナル米「天のつぶ」、定番の「コシヒカリ」は業務用としても引き合いが強い。全農県本部米穀課は「全国的に19年産米の在庫が残れば、20年産米の価格に影響が出てくるはずだ」と身構える。

 秋田県産あきたこまち(19年産)は4月の相対取引価格は1万5861円(玄米60キロ)と、前月比0.1%の微増だったが、県内の卸や小売関係者からは「買いだめの反動が今後出てくる。消費の上向きは望めない」との声が漏れる。

 青森県の「青天の霹靂(へきれき)」と「まっしぐら」は19年産が順調に取引され、在庫はほぼはけた。県総合販売戦略課の斎藤直樹課長は「他産地に比べ生産量が少なく、常連の消費者に過不足なく届けることができた」と胸をなで下ろす一方、「20年産への影響は全く読めない」と話す。