東北電力は27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、6月25日の株主総会の会場を例年の電力ホール(仙台市青葉区)から東北電本店(同)に変更すると発表した。本店での開催は初めて。インターネット動画配信なども実施し、株主の安全を確保した上で配当や議決に関する権利を保障する。

 東北電によると、会場は本店1階の大会議室などを予定。株主の座席は間隔を空け、最大300人程度の出席を見込む。マスクの着用やアルコール消毒液の使用を求めるほか、サーモグラフィーで検温して37.5度以上の発熱がある場合などには入場を控えてもらう。

 総会では、2020年3月期決算の期末配当などに関して審議する予定。総会の模様は当日、株主限定でライブ中継する。視聴は可能だが、議決権行使や質問、動議はできない。

 出席しない株主に対しては、事前に郵送やインターネットを通じて議決権を行使できる仕組みを設ける。

 3月末現在の東北電の株主数は約17万3700で、うち約12万7000が議決権を持つ。株主総会は1974年以降、電力ホールを会場としてきたが、利用者が社員や取引先などに限られる本店の方が新型コロナの感染リスクが低いと判断した。

 東北電の担当者は「緊急事態宣言は解除されたが感染リスクがなくなったわけではない。事前の議決権行使など、安全を最優先に来場見合わせも検討していただきたい」と呼び掛ける。

◎スマート社会へ定款変更

 東北電力は、快適で安全安心なサービスを提供する「スマート社会」の実現に向け、会社の骨格となる定款を一部変更する方針を固めた。関連議案を6月25日の株主総会に提案する。

 定款のうち「事業を営む目的」の記述を大きく変える。原発を含む基盤の電気事業を維持しながら、分散型のエネルギー資源を活用したサービスや関連設備の製造・販売、情報提供サービスなどを新たに盛り込む。現行のガス供給事業はガス事業に改める。

 東北電は2月、今後10年間の企業グループ経営の方向性を示す「中長期ビジョン」を策定した。スマート社会実現事業を成長分野と捉え、仮想発電所(バーチャルパワープラント)の事業化のほか、家庭・法人への太陽光発電設備や蓄電池の設置、ガス販売の収益拡大などを掲げる。

 東北電は定款変更について「ビジネスモデルを大きく転換し、社会の持続的発展と自らの成長の両立を目指す」と説明する。

 株主総会では、樋口康二郎社長ら取締役(社外取締役を除く)と執行役員を対象とした「業績連動型株式報酬制度」の導入に関する議案も諮る。取締役らの報酬と業績の連動性をより明確にし、中長期的な業績と企業価値の向上に貢献する意欲を高めるのが狙い。

 東北電が信託銀行に金銭を拠出し、銀行側は東北電の株式を取得。取締役らには業績目標の達成度などに応じてポイントが与えられ、退任時に累積ポイントに基づき株式を交付する。