東京電力福島第1原発事故で被災した福島県浜通りに整備を目指す国際教育研究拠点構想の有識者会議は、最終報告書の素案を取りまとめた。新産業創出を担う地元人材を育成するため、将来的に大学や大学院を拠点内に設置するビジョンを掲げた。

 27日の会合で示された素案の骨子は表の通り。拠点では原発の廃炉やロボットなど最先端の研究開発に取り組むほか、教育機能を充実させる。当面は拠点内の研究室が人材育成の役割を担い、将来は地元から要望があった相双地域を含む浜通りへの高等教育機関の整備を目指す。

 拠点内での大学院生の育成は、各分野の研究者が教員として指導に当たる「連携大学院制度」を活用する。大学院生を拠点内で雇用し、給与を払う仕組みも検討。大学生や高専生にはインターンシップを通じ、拠点関連への就職を促す。

 小中高生に関しては最先端の研究現場を学ぶワークショップや出前講座、技術を競い合うコンテストを開き、課題解決の能力を育む。県外大学への進学で優秀な人材が流出するのを防ぐため、拠点への将来的な関与を条件にした地域連携型の選抜入試も取り入れる。

 拠点の整備・運転資金は国が長期的に予算を確保する方針を明記。一方で産業界からの投資や企業版ふるさと納税、クラウドファンディングの活用も挙げた。

 国立の研究開発法人の新設を柱とした拠点は2023年春の一部開設、24年度の本格開設を目指す。今年中に具体的な立地地域を絞り込む方針で、一定の生活環境を備えた集約型の研究タウンを想定。拠点には東北大、福島大など4大学も参画の意向を示す。

 会合は新型コロナウイルス対策で復興庁と有識者を中継で結ぶテレビ会議方式で開かれた。田中和徳復興相は「世界に誇れる拠点の整備を目指す」と述べた。

 有識者会議は6月8日に最終報告書をまとめ、政府に提出する。