新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響は長期化が予想され、どこで踏みとどまれるか見当が付かない。事業者も労働者も感染予防を前提とした経済環境への適応が急務だ。

 国内経済への打撃は外出自粛の影響をもろに受ける観光や飲食などのサービス業から始まり、世界経済の低迷が追い打ちを掛け、製造業を含む産業全体に波及した。地方に多い中小零細の小規模事業者は特にダメージが大きい。

 2008年のリーマンショック後の世界的不況で非正規労働者の派遣切りなどが相次ぎ、国内の完全失業率は過去最悪の5.5%に達した。コロナショックによる失業率の悪化は、これを上回るとの予測もある。

 政府はリーマン時を教訓に雇用維持を模索するが、休業補償や家賃補助など支援策の方法やスピード感には反省と検証が必要だ。働き方改革は「同一労働同一賃金」の考え方で、非正規でも雇用や賃金を守る前提に立つ。これを既定路線にほころびを整えるべきだ。

 労働者が再就職に向けて学び直す「リカレント教育」は、大都市に教育機関が集中しているため地方に不利だったが、情報通信技術の発展で場所や時間にとらわれずに学び、働ける環境整備が可能になっている。併せて働き口のマッチングを充実させれば、経済の起爆剤になる。

 今後は雇用の流動化が進むと予想している。感染拡大で仕事が激減した観光業の従事者が、人手不足に悩む地元の農作業を手伝うなど、海外で先行した異業種間での従業員シェアや自治体によるマッチング事業の試みが、国内でも広がり始めている。一部の事業は定着し、硬直的な労働市場を軟化させる可能性がある。

 就職活動中の学生は不安だと思うが、希望を失わないでほしい。経済界もバブル崩壊後に就職難だった「就職氷河期世代」の問題を繰り返さないため、採用を極力維持しようという流れにある。学生が思うような企業に出合えなかった場合のフォローを官民で拡充する必要がある。

 コロナを機に働き方も変わるだろう。テレワーク(在宅勤務)は1990年代から議論され、09年の新型インフルエンザ流行時や東日本大震災時にも必要性が叫ばれたが進まなかった。紙文化やチーム制の働き方など慣行的な経営効率が優先され、子育て世代など一部の特別な人向けの制度という見方をされてきた。

 ウイルスの影響は先が見通せず、柔軟な働き方を基本としていかなければ、結果的に雇用も産業も守れない。働き手の意識も通信機器の整備も中途半端な状態で在宅勤務を進めざるを得ない状況が続いているが、今後は普通の働き方としてなじむとみている。

 商取引のオンライン化は一層加速する。総じて対面取引が敬遠される経済環境は、地方企業にとって対面では限定的だった取引をオンラインで全国に広めるチャンスだ。外部から人が来ない今の状況を、地域の人材や価値を再発見して売り出す契機としてほしい。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちは過去に経験のない閉塞(へいそく)感に包まれている。戦後最大の危機とされるパンデミック(世界的大流行)は現在に何を突き付け、どのような未来をもたらすのか。5人の識者に聞いた。
(聞き手は報道部・若林雅人、横山勲)