「不衛生なマイバッグが多く、新型コロナウイルス感染が心配です」。無料通信アプリLINE(ライン)を使った山陰中央新報(松江市)の「さんいん特報班」に、スーパーマーケットでレジを担当する松江市内の40代女性からこんな声が届いた。7月に始まったレジ袋の有料化でマイバッグ持参者が増え、袋詰めの際に汚れたバッグが散見されるという。コロナ禍で誰もが衛生面に気をもむ中、バッグに感染リスクはあるのか。

 有料化を義務付ける制度が始まり、女性は変化を感じている。

 マイバッグを持参する客が増えたが、中には臭いがし、カビが生え、ぬれている袋も。「お客さんに『洗ってください』なんて言えない。仕事だから仕方ない」と自らに言い聞かせているという。

 取材を進めると、興味深いデータが見つかった。

 エフコープ生活協同組合(福岡県篠栗町)が2016年、100人の客にエコバッグを洗っているかどうかを調査した結果、「洗ったことがない」が51%を占めた。「2、3カ月に1回洗う」が23%、「毎日洗う」は3%だった。30人の袋を拭き取って菌の数を調べたところ、半数が「やや汚れている(菌の個数10~50個)」だった。洗えば、かなり菌が減少すると分かり、小まめな洗浄が重要と結論付けた。

 新型コロナとは無関係の調査で、今とは衛生意識が違うが、洗う意識は低い傾向が見て取れる。

 不衛生なマイバッグはどんな影響を及ぼすのか。専門家はコロナより、食中毒に注意すべきだと説く。

 関西福祉大の勝田吉彰教授(渡航医学)は、袋が湿った状態だと細菌が増殖する可能性があると指摘。汁が付いたままにせず、毎回洗うのが理想としつつ、別に袋を用意し、生ものを入れてはどうかと助言する。

 コロナに関しては、ウイルス感染力が段ボール上では24時間程度で消滅するとのデータを示し「バッグに付着したとしても、そう長くは残らない。付いたウイルスの量も(微量のため)感染に満たないのではないか」とする。

 レジ係の感染リスクは、マイバッグに触れるより、むしろ袋詰めの待ち時間で客と係の接触時間が長くなる方が高いとし、3密回避や手洗い励行を訴える。

 客が商品を手に取って並び、一括して支払う「セルフサービス」のスーパー。歴史を取材すると、誰が袋詰めをするのか時代で変わっている。

 全国スーパーマーケット協会(東京都)によると、日本のスーパーの始まりは1953年。米国同様、当時は専門の係が紙袋に詰めていた。高度経済成長に伴う利用者増でレジ待ちの時間が長くなると、近くに台を置き、客自身に袋詰めしてもらう店が増えた。

 コロナ禍で、消費者自身が袋詰めを行うよう勧めるガイドラインが出され、さらにセルフ式の店が拡大した。島根、鳥取両県のスーパー10店超に取材すると、多くがセルフ式。コロナ前はレジ係が詰めていた所もセルフ式に切り替える店が増えている。

 レジ係が詰める店は、袋詰めまでをサービスと捉えて売りにしており、全国スーパーマーケット協会の名原孝憲広報課長は「どの対応が正しいか決めるのは難しい」と話す。

 米国の一部では、新型コロナ感染防止のため、マイバッグ使用が禁じられた。コロナ禍が浮き彫りにしたマイバッグ問題。過剰な心配は不要かもしれないが、小まめに洗うのが消費者、店員双方ともに最善であるのは間違いない。
(山陰中央新報提供)

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