昨年秋の台風19号で、福島県沿岸の海水に溶け込んでいる放射性物質セシウム濃度が一時的に4.3倍上昇したことが、福島大環境放射能研究所の高田兵衛特任准教授(海洋化学)らの調査で分かった。大雨に伴う土砂流出が一因とみられる。

 研究グループは昨年6~10月、富岡町やいわき市などの河口付近、沿岸、沖合の計25カ所で海水を採取し、セシウム濃度を調べた。台風通過後の10月に富岡川と夏井川、鮫川・蛭田川の河口付近計3カ所の平均濃度は1リットル当たり39ミリベクレルで、6~9月平均の9ミリベクレルを大きく上回った。

 セシウムは河川の底に沈着した土砂などに付着している。高田准教授は台風による記録的な大雨で土砂が河川から海へ流出し、海水中のカリウムイオンに反応してセシウムが溶け出したと分析。濃度上昇分の3割程度がこのメカニズムによるとみている。

 高田准教授は「東京電力福島第1原発から流出するセシウムは年々減少しているという研究はあるが、台風由来の濃度上昇は未解明の部分が多い。データを収集し、風評払拭(ふっしょく)につなげたい」と話す。

 研究は8月上旬、米化学会が発行した雑誌に掲載された。